ラムサール条約第9回締約国会議報告(2)

第1日目

11月8日(火)
午前: 参加者登録
午後: 地域会合・参加者登録
夕方: プログラムI 開会式

 送迎バス:7時半過ぎに到着。準備がまだできていなかったので10分ほど待ってもらう。別のゲストハウスから、ラテンアメリカのNGOの人たちが乗っている。この後いくつかのホテルに寄って、会議場のスピークリゾートまで送ってくれた。8時前後は、出勤時間で道路はどこも渋滞。しかし、パトカーが先導して、渋滞の車を脇に寄らせ、待ち時間を除くと30分もかからない。政府が招待した会議の参加者としての特別な扱いを受けていることが分かる。ただ、パトカーのサイレンと、警官の先導、交通整理はどうも居心地が悪い。

 会議場:会議場は、スピークリゾートホテルの国際会議場を使う。かなり広いが、前回のバレンシアの科学博物館よりは狭く、議長席の前に、机といすが並んだ各国代表団の座席があり、それを取り囲むように、横と後ろに椅子だけのオブザーバー席を設置している。机がないだけでなく、席の指定、団体名の札もない。私が出席したこれまで3回の会議と比べると、オブザーバー席の面積の狭さは歴然としている。1000人という会場の制約からこの形になったという。どこに座らなければならないという制約もないが、会議の発言を札を挙げて意思表示するのだから、この札がないということは、オブザーバーからの積極的な発言は考えられていないように見える。(議事法では3分の1以上の反対がなければ投票権を除いてすべての会議に参加できるとなっている。)

地域会合:国別報告書に基づき、アジア地域の問題点、優先事項、重要議題の確認を行った。すべての会議の前に地域会合を開くということはこれまでには行われていなかった。会議の前に小さなグループで話し合うことは論点の整理にもなり、効率的な議論にも役立つようだ。


開会式(11月8日)

開会式
 18:30開始。ボブ・ディランの “The Times they are a changin’.” が流れて始まった。環境関係条約の公的な速記録を出してきたEarth Negotiations Bulletinは、34年の長い歴史の中でさまざまな変化を遂げてきたラムサール条約の今をよく表していると表現していた。主に鳥の生息地を守るための条約から魚類から文化まで含め、湿地全般を広い角度から、協力して保全を達成するための変化を遂げようとする締約国会議の開始はなかなか凝っていた。
 ラムサール条約三代目の事務局長ピーター・ブリッジウォーター博士の開会の挨拶は、今回出版された国連の『ミレニアム生態系アセスメント(MA)』による世界の湿地の状況の分析の報告書を引用。その中で、「世界中で淡水湿地と沿岸湿地が減少もしくは悪化にある状況が強調されている。その一方で、ラムサール条約が成功していると言うことが出来るのだろうか」、と問題点を指摘した。登録湿地を増やし、守るだけでなく、その他の湿地を減少させないような協力体制を作るためにこの会議に集まっているのだと思う。
 開会式では事務局長のほか、前回と今回の開催国スペイン(Antonio Fernandez de Tejada氏)とウガンダの代表(Kahinda Otafiire氏)、国連環境計画(UNEP)(Bakary Kante氏)、国際協力団体(IOP)(Achim Steiner氏、IUCN)、市民社会団体(CSO、ラムサールでは非政府団体NGOの用語を多く使ってきた)の代表(Dorothy Gwakka女史)、ウガンダ援助国代表(Kathelyne Creaner女史)の挨拶に続いて、日本のラムサールセンタージャパンの企画で直前に行われた子どもラムサールの会議からのメッセージを、ウガンダ、インド、タイ、韓国、日本の子どもたちの代表が発表した。彼らの「会議で決められることは難しくて分からない。わかりやすい言葉で説明してほしい。」「私たちの方が長く生きるのだから(この地球の環境を)ちゃんと守ってほしい」というメッセージは大きな共感を持って歓迎された。
 最後にラムサール湿地保全賞の授与式が行われ、3つの部門で以下の方々が受賞。
◆湿地管理部門:イランのネザミ・バルーチ博士
◆科学部門:  中国の蔡述明(カイ・シュミン)博士
◆教育部門:  ラムサールセンター(日本)中村玲子女史
        オーストラリアの湿地センター クリスティーン・プリエト女史
 アジア・オーストラリア地域における業績が認められてきていることは喜ばしい。

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