ラムサール条約第9回締約国会議報告(5)
第4日目
11月11日(金) |
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朝: |
アジア地域会合、草の根NGO会合 |
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午前: |
議題XV 決議案提案・討議(続き) 地域ごとの取り組み(決議案8改1) 魚類資源(決議案4) 国際環境条約の協調(決議案5) 国境を越えた保全の協力(決議案6) |
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昼休み: |
サイドイベント・財政委員会 |
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午後: |
議題XV 決議案提案・討議(続き) 登録地選択基準(決議案7) 自然災害(決議案10) 条約事務局名の用語(決議案11) 決議案12 STRPの運営方針 決議案14 ラムサール信託基金 決議案15 貧困対策 決議案16 登録湿地の状態 |
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夕方: |
コンタクトグループ(賢明な利用) |
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夜: |
非公式会合「水田の価値」日韓環境NGO |
- アジア地域会合
条約事務局のアジア上級アドバイザー雷(Lei)博士:「アジアには財政支援のイニシアティブがない。新熱帯地域には米国が提供する「Wetlands
for Future」が、アフリカには「Swiss grants for Africa」がある。さらに両地域は、ラムサール小規模助成基金(SGF)からかなりの支援を得ている。
- 他の地域がSGFからの支援を多く得ているのは、申請の仕方や申請書の質に問題があると前に議論したことがあるという指摘に対し、雷博士は「アジアからのSGF申請書の質はここ2〜3年でかなり向上した。」と述べる。
またWIのMundkur博士は「アジア担当者はアジアにいた方がいいのではと前にも提案したことがある。もう一度考えてみるべきかも」と提案。これに対し雷博士は「オセアニア担当者はサモアに位置している」ことを指摘した。
決議案提案・討議(続き)
- 決議案8改1 地域ごとの取り組み
- 決議案4 魚類資源
- 付属文書の内容に問題があるという指摘が相次ぎ、議論は持ち越された。
- 決議案5 国際環境条約の協調
- 環境条約は協調すべきこと、報告書の手間の観点からも。他の条約に加盟していない国家に関しても配慮すべきことが話し合われ、米国を中心に修正のための話し合いを行うことが決まった
- 決議案6 国境を越えた保全の協力
- 国境の問題が微妙なので、次回COP10に持ち越すべきという意見が出された。
- 決議案7 登録地選択基準
- 基準を満たさなくなった登録地については登録から除外するよりも再生のための援助、手段を求める意見があった。修正をいくつか加えて採択。
- 決議案10 自然災害
- 2004年12月に東南アジア地域に大きな被害をもたらした津波と、防波堤の役割を果たす沿岸域の湿地保全との関係を重要視したのがそもそもの発端。洪水、地震、干ばつ、イナゴ、侵入植物等さまざまな要素が入ってきたため、調整グループが結成された。
- 決議案11 条約事務局名の用語
- これまで条約事務局を示す用語として用いられてきた"Bureau"の代わりに"Secretariat"を用いる方がいいという決議。
- 決議案12 STRPの運営規則
- 日本政府代表は「メンバーの選考に当たっては、加盟国政府と協議をするように」要請。
- 決議案14 ラムサール信託基金
- ラムサール小規模助成基金への資金源としてラムサール信託基金を立ち上げることを提案。
- 決議案15 貧困対策
- アフリカで最初の締約国会議である今回のテーマと結びついた決議。日本政府は生態系による便益に言及するよう要請。
- また日本政府代表は「我が国のJICAはいろいろな国で湿地プロジェクトを実施している。そのため、この決議案の中で提案されている『新しい機構』は必ずしも必要ないと考える」と意見を表明した。
- 確かに最近ではJICAは湿地保全に関するプロジェクトを実施しているが、一方で湿地破壊に結びつきかねない従来型の開発事業も続けている。国として湿地に関する明確な政策(方針)が必要であろう。
- アフリカで最初の締約国会議である今回のテーマと結びついた決議。日本政府は生態系による便益に言及するよう要請。
- また日本政府代表は「我が国のJICAはいろいろな国で湿地プロジェクトを実施している。そのため、この決議案の中で提案されている『新しい機構』は必ずしも必要ないと考える」と意見を表明した。
- 確かに最近ではJICAは湿地保全に関するプロジェクトを実施しているが、一方で湿地破壊に結びつきかねない従来型の開発事業も続けている。国として湿地に関する明確な政策(方針)が必要であろう。
- 決議案16 登録湿地の状態
- 日本も含め、この議題で各国が自国の登録湿地の状態・拡大計画等について報告した。
- WWFは「前回の締約国会議開催国スペインでは、政府が進めているダム計画が大きな問題になったが、その後スペイン政府が約束したように積極的な協議が行われている。この点についても決議に含めてはどうか。また、残念ながら今回ギリシャ代表団は参加していないが、復元策が必要と記載されたギリシャの登録湿地の状態についての報告も求めるべき」と発言した。
- またガーナ政府は湿地の環境悪化を監視する『早期警戒システム』の考え方を提案し、WIはガーナの提案を支持、次回COP10での決議に持ち込んではどうかと発言した。
- 次にアルゼンチンは、条約事務局が問い合わせを行うに当たって「第三者からの情報」がどのように処理されてきたのか説明を求めた。
- 非公式会合「水田の価値」
- サイドイベントの日程が14日に変更されたことが分かったのが遅くなり、主催者の日本雁を保護する会・蕪栗ぬまっ子クラブのメンバーの14日出発のスケジュールが変更できなかったため、スピークリゾートホテルの部屋で同じ内容で非公式会合を行った。
- ・アジアの水田の重要性に関する背景情報:呉地正行(日本雁を保護する会)
- ・水鳥の生息地としての水田:キム・キョンウォン(韓国環境運動連合)
- ・ふゆみずんぼによる生物多様性の回復と農地の資源価値の増進:岩渕成紀(日本雁を保護する会)
- ・ディスカッションにおいては韓国側から冬水田んぼについての質問が多数出された。また、蕪栗における農業者と環境運動との協力の始まりについても話を聞くことができた。
- 草の根NGO会合
- 本会議場の下のテーブルのエリアに集まり、6−70人の参加があった。
- 今回の会議で、決議などでも先住民・地域住民などとの協力が何度も謳われているにもかかわらず、地域で活動する人々がほとんど省みられていないこと。次回・韓国においては連携を密にし、会議にきちんとした貢献ができるようにしたいこと。今回のCOPにこのことを伝える機会を持つ。等話し合った。