ラムサールの転換
COP9を通じて、ラムサール条約は大きな転換が行われたということができよう。 特に大きな部分は組織や会議の運営に関する合理化の試みが行われたことである。 科学技術検討委員会の運営規則や、対話・教育・啓発活動の監査委員会の設置、条約の管理に関する検討など組織・運営の効率化を図る決議が採決された。 また、効率化として、他の条約との強調、特にその報告書形式の統一を通して、締約国の負担を減らすことが主張されてきた。 湿地の管理に関しては、また、これまでの決議・勧告の見直し、あるいは湿地の賢明な利用などのラムサールハンドブックの改定につながる決議も採択された。これらは、これまでの35年を通して、積み上げてきたものが“積み重なり”、次第に重荷となり始めてきた事柄であるので、これらの事柄がこの時点で整理され、湿地の保全・管理にかかる者たちが少しでも「楽しく」関わっていくきっかけとなることができるならば、とてもすばらしいと思う。 NGOの参加受け入れ態勢 今回、特にNGOの会議への参加を受け入れる体制については、少なくとも私が参加したこれまで3回の締約国会議とは全くと言える変わり様であった。これがたまたまこの回だけであるのか、これからずっと続いていく変化なのかはしっかりと見続けていかねばならない。 NGOが主導して作ったラムサール条約は伝統的にNGOの役割を認め、その中で先住民・地域住民の知恵を利用すべきであるという決議・勧告がいくつも成立してきた。これは持続可能な利用の仕方や、積極的な保全を行ってきた貢献を認めてのことであったはずである。しかしながら今回は参加者も少なく、またNGOルームの用意もなかった。展示ブースの500ドルは決して地域で活動している人々にとって安い金額ではない。もう一つ、大きな要素として、これまでIUCNがプレ会議を行い、同時に地域NGOの会議のサポートもしてきたのが、資金がないということで、それが開かれなかったことである。これが草の根NGOの参加の低調さの大きな原因となったと思う。このことだけは、条約の、今後につながる変化とすべきではない。これまで35年間で築いてきた保全のための貢献の大きな部分を失うことになる。 ウガンダの会議の準備について: 事前準備の段階で、情報の錯綜や、情報の欠如にかなり悩まされた。しかし、日がたつにつれ、慣れていないために時間がかかっているということが分かってきた。パンフレットも数日後に配布された。バスの添乗をしてくれた大学生もパトカーの先導をつけてくれたウガンダ政府も心を合わせ、会議の成功だけを考えてこちらの都合を聞いてくれた。会議のために献身的に協力してくれたウガンダの人々に心から感謝したい。 日本からは遠いのだが、会議の経験を積み上げていくことでスムーズな運営が可能になってくると思う。 参考資料: Ramsar COP9, Kampala, 8-15 November 2005 - Draft Report of the Meeting Earth Negotiations Bulletin, Vol. 17 No. 19-25, International Institute for Sustainable Development (IISD) http://www.iisd.ca/Ramsar/cop9/ Civil Society Update on Ramsar Copp9, Issue 01-05. Uganda Civil Society Committee for Ramsar COP9, 8-14 November 2005. e-mail: ugandacoalition@infocom.co.ug >> トップページ >> REPORT目次ページ |